公益財団法人知床財団
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2023.5.5

アウトドア

もしクマに出会ったら?冬眠明けって凶暴?ヒグマ対策アドバイス

登山

北海道にも春らしい日が続くようになってきました。あたたかくなると、山菜を取りに行ったりハイキングに行ったりと、山や森に行く機会もあるのではないでしょうか。

自然の中では、エゾシカなど野生動物を見かけることもあります。そしてばったり出くわすと恐ろしい、冬眠を明けたヒグマに出会うことも…。みなさんはそんな時、事故に合わないように行動できますか?

今回は、およそ500頭のヒグマが生息するといわれる知床半島で、野生動物対策を行う知床財団のスタッフから、ヒグマ対策のアドバイスをうかがってきました。

ヒグマには勝てない…自然を生きる優れた能力

ヒグマは国内で最大の陸上生物といわれています。大きさ以外にどんな特徴があるのか正直よくわからないですよね。まずは知床財団スタッフの新庄さんからヒグマの生態について教えていただきました。

「大きい個体だと体長(鼻先からおしり)2m弱くらいで、立ち上がると2.5mくらいの大きさです。走るのも早く、測量計などで確かめてはいませんが、時速60kmで走ると言われています。嗅覚が犬よりも優れていて、かすかな匂いでもわかると思いますよ」と、新庄さん。
 
ヒグマ

提供画像:公益財団法人知床財団

ヒグマ爪あと
木登りも得意だそうで、走っても木に登ってもヒグマから逃げ切るのは難しそうです…。厳しい自然を生き抜く優れた能力を持っているので、簡単に太刀打ちはできません。

また、新庄さんから知床のヒグマについて意外なお話もうかがいました。

「個体にもよるけれど、基本的にみんな臆病なんです。ただ、科学的には証明できないですが、知床のヒグマは穏やかだと思います。人がよく訪れる国立公園なので人を見慣れていて、出会っても焦ることが少ないのかもしれません。
ヒグマ捕獲中のハンターとの事故は発生していますが、山菜取りや散歩中の人が被害に合うことは、過去30年以上知床では起きていないんです」とのこと。

冬眠明けのヒグマはのんびり?

「冬眠明けのヒグマはおなかが空いていて凶暴だ」と、どこかで聞いたようなことはありませんか?実際はどうなのか、聞いてみました。

「凶暴ということはありません。少なくとも私の印象だと、知床のヒグマはのんびりしています。寝起きのようなポケっとしているイメージで、人と出会ってもあまり慌てて逃げません。
他の地域のヒグマについても、おなかが空いていて凶暴だという根拠は特にないと思います。食べ物は年中常に探して生活していますからね」と、教えていただきました。
 
ヒグマ 冬眠明け

提供画像:公益財団法人知床財団

慌てない・騒がない・背中を向けず後退するが基本!

親子ヒグマ

提供画像:公益財団法人知床財団

もし山や森でヒグマに遭遇してしまった場合、どう対処したら良いのか新庄さんにアドバイスをうかがいました。

その1:慌てない!

目の前に突然大きな生き物が現れたら慌ててしまうと思いますが、まずは落ち着いて身の安全を守ることを考えましょう。びっくりしてフリーズするのも逆に有効かもしれません。慌てずにわれに返り、次に安全な行動を取るのが良いかもしれないですね!

その2:騒がない!

出会い頭に大声を出すのは危険なのでやめましょう。驚きのあまり、思わず声を出してしまいそうですよね。しかし、出会ったヒグマがみんな襲ってくる訳ではないそうです。お互いにびっくりしてヒグマから逃げていく方が、意外に多いのだとか。

その3:背中を向けずに後ずさって距離を取る!

ヒグマを見つめながら動くのは怖いですが、ゆっくり距離を取るのが大切です。背中を向けて逃げると追いかけて来ることがあるんだそう。

「なにか理由がなければ興奮して襲ってくるということはしないと思います。威嚇や攻撃するのは、守る対象のものがある状態の時です。例えば、近くに子グマがいたり魅力的な食べ物があったりだとか、そういう時は逃げようとしません」と、新庄さん。

もし襲い掛かられてしまった場合は、うつぶせになって頭や首・おなかを守る防御姿勢を取り、ヒグマが離れて行くのを待つしかありません。
 

ヒグマに出会わないのが一番!

ヒグマに遭遇した時のアドバイスを教えていただきましたが、実際に出会ってしまったら…と考えるととても怖いですよね。「出会わないことが一番」とのことで、対策についてもうかがいました。
クマ出没注意看板
クマ鈴
対策1:音を出す!

クマ鈴やしゃべり声、一人で行動するのであればラジオをかけると良いそうです。

「音を出して人の存在を気づかせるのは有効です。川の音や風が強くて、ヒグマが人の気配に気付きづらい条件では、より入念に存在を気付かせるように注意して行動してください。ヒグマも人に出会っても別にメリットがあるわけじゃないです。避けようと思えば避けてくれます」と、新庄さん。

前述の通り、知床の場合はヒグマが人に慣れている傾向があり、音を出しても逃げない個体もいるそうです。しかし「それは人間の存在をわかった上で避けていないこともあるので、そういった場合には危険なバッタリ遭遇にはなりにくいと思います」と、新庄さんは言っていました。
対策2:食べ物が入ったバックは放置しない!

おやつやお弁当など食べ物を入れて持って歩く分には、そこまで注意はしなくても良いそうです。しかし、荷物を置いて離れてしまうと、その隙に漁られてしまうということがあります。

「どこかに保管する時は確実に注意しましょう。人の食べ物に餌付いたヒグマであれば、とても注意が必要です。しかし、人の食べ物に執着する個体は『問題のヒグマ』とされ、駆除対象になります。そういったヒグマは全くいないとは言い切れませんが、基本的にいないと思って良いです。問題なのは人の食べ物に執着させること」と、新庄さん。
 
バックパック

ヒグマと人との関わり方を考える

ヒグマ ごみくわえ

提供画像:公益財団法人知床財団

人の食べ物の味は、自然の中で暮らしていたら知ることはありません。食べ物に執着するようになるのは、人が原因であることがほとんどです。

人が置いた荷物を漁ってしまったり、道路にポイ捨てされたゴミを漁ってしまったり。人の不注意から「問題のヒグマ」にしてしまうことがあるんです。

今回は、ヒグマに遭遇してしまった場合の対処法や、出会わないようにする対策についてお伝えしてきました。いざという時の知識を身につけるのも大事ですが、人がヒグマに与える影響について考えてみるのも大切ですね。
 
公益財団法人 知床財団
住所:北海道斜里郡斜里町大字遠音別村字岩宇別531番地
電話:0152-24-2114
公式HP:https://www.shiretoko.or.jp/
Facebook:ShiretokoNF

(上記の情報は記事作成時点のものです。最新の情報は施設にお問い合わせください。)

ヒグマには勝てない…自然を生きる優れた能力

ヒグマ

提供画像:公益財団法人知床財団

ヒグマは国内で最大の陸上生物といわれています。大きさ以外にどんな特徴があるのか正直よくわからないですよね。まずは知床財団スタッフの新庄さんからヒグマの生態について教えていただきました。

「大きい個体だと体長(鼻先からおしり)2m弱くらいで、立ち上がると2.5mくらいの大きさです。走るのも早く、測量計などで確かめてはいませんが、時速60kmで走ると言われています。嗅覚が犬よりも優れていて、かすかな匂いでもわかると思いますよ」と、新庄さん。
 
ヒグマ爪あと
木登りも得意だそうで、走っても木に登ってもヒグマから逃げ切るのは難しそうです…。厳しい自然を生き抜く優れた能力を持っているので、簡単に太刀打ちはできません。

また、新庄さんから知床のヒグマについて意外なお話もうかがいました。

「個体にもよるけれど、基本的にみんな臆病なんです。ただ、科学的には証明できないですが、知床のヒグマは穏やかだと思います。人がよく訪れる国立公園なので人を見慣れていて、出会っても焦ることが少ないのかもしれません。
ヒグマ捕獲中のハンターとの事故は発生していますが、山菜取りや散歩中の人が被害に合うことは、過去30年以上知床では起きていないんです」とのこと。

冬眠明けのヒグマはのんびり?

ヒグマ 冬眠明け

提供画像:公益財団法人知床財団

「冬眠明けのヒグマはおなかが空いていて凶暴だ」と、どこかで聞いたようなことはありませんか?実際はどうなのか、聞いてみました。

「凶暴ということはありません。少なくとも私の印象だと、知床のヒグマはのんびりしています。寝起きのようなポケっとしているイメージで、人と出会ってもあまり慌てて逃げません。
他の地域のヒグマについても、おなかが空いていて凶暴だという根拠は特にないと思います。食べ物は年中常に探して生活していますからね」と、教えていただきました。
 

慌てない・騒がない・背中を向けず後退するが基本!

親子ヒグマ

提供画像:公益財団法人知床財団

もし山や森でヒグマに遭遇してしまった場合、どう対処したら良いのか新庄さんにアドバイスをうかがいました。

その1:慌てない!

目の前に突然大きな生き物が現れたら慌ててしまうと思いますが、まずは落ち着いて身の安全を守ることを考えましょう。びっくりしてフリーズするのも逆に有効かもしれません。慌てずにわれに返り、次に安全な行動を取るのが良いかもしれないですね!

その2:騒がない!

出会い頭に大声を出すのは危険なのでやめましょう。驚きのあまり、思わず声を出してしまいそうですよね。しかし、出会ったヒグマがみんな襲ってくる訳ではないそうです。お互いにびっくりしてヒグマから逃げていく方が、意外に多いのだとか。

その3:背中を向けずに後ずさって距離を取る!

ヒグマを見つめながら動くのは怖いですが、ゆっくり距離を取るのが大切です。背中を向けて逃げると追いかけて来ることがあるんだそう。

「なにか理由がなければ興奮して襲ってくるということはしないと思います。威嚇や攻撃するのは、守る対象のものがある状態の時です。例えば、近くに子グマがいたり魅力的な食べ物があったりだとか、そういう時は逃げようとしません」と、新庄さん。

もし襲い掛かられてしまった場合は、うつぶせになって頭や首・おなかを守る防御姿勢を取り、ヒグマが離れて行くのを待つしかありません。
 

ヒグマに出会わないのが一番!

クマ出没注意看板
ヒグマに遭遇した時のアドバイスを教えていただきましたが、実際に出会ってしまったら…と考えるととても怖いですよね。「出会わないことが一番」とのことで、対策についてもうかがいました。
クマ鈴
対策1:音を出す!

クマ鈴やしゃべり声、一人で行動するのであればラジオをかけると良いそうです。

「音を出して人の存在を気づかせるのは有効です。川の音や風が強くて、ヒグマが人の気配に気付きづらい条件では、より入念に存在を気付かせるように注意して行動してください。ヒグマも人に出会っても別にメリットがあるわけじゃないです。避けようと思えば避けてくれます」と、新庄さん。

前述の通り、知床の場合はヒグマが人に慣れている傾向があり、音を出しても逃げない個体もいるそうです。しかし「それは人間の存在をわかった上で避けていないこともあるので、そういった場合には危険なバッタリ遭遇にはなりにくいと思います」と、新庄さんは言っていました。
バックパック
対策2:食べ物が入ったバックは放置しない!

おやつやお弁当など食べ物を入れて持って歩く分には、そこまで注意はしなくても良いそうです。しかし、荷物を置いて離れてしまうと、その隙に漁られてしまうということがあります。

「どこかに保管する時は確実に注意しましょう。人の食べ物に餌付いたヒグマであれば、とても注意が必要です。しかし、人の食べ物に執着する個体は『問題のヒグマ』とされ、駆除対象になります。そういったヒグマは全くいないとは言い切れませんが、基本的にいないと思って良いです。問題なのは人の食べ物に執着させること」と、新庄さん。
 

ヒグマと人との関わり方を考える

ヒグマ ごみくわえ

提供画像:公益財団法人知床財団

人の食べ物の味は、自然の中で暮らしていたら知ることはありません。食べ物に執着するようになるのは、人が原因であることがほとんどです。

人が置いた荷物を漁ってしまったり、道路にポイ捨てされたゴミを漁ってしまったり。人の不注意から「問題のヒグマ」にしてしまうことがあるんです。

今回は、ヒグマに遭遇してしまった場合の対処法や、出会わないようにする対策についてお伝えしてきました。いざという時の知識を身につけるのも大事ですが、人がヒグマに与える影響について考えてみるのも大切ですね。
 
公益財団法人 知床財団
住所:北海道斜里郡斜里町大字遠音別村字岩宇別531番地
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公式HP:https://www.shiretoko.or.jp/
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(上記の情報は記事作成時点のものです。最新の情報は施設にお問い合わせください。)

鎌田絵里奈

知床在住ライター

北海道とカフェとアウトドアが大好きな、知床在住の道産子バリスタライター。
おしゃれなカフェ、美しい自然や景色の写真を撮るのが趣味。バリスタとしてコーヒーを淹れる傍ら、北海道を駆け回り全身で体感して、道内に限らず国内外の人たちへ、大好きな北海道の魅力を発信していきます!

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